2023 年 79 巻 20 号 論文ID: 23-20007
本研究では,公共交通利便性と年齢階級別社会増減との関連を明らかにすることを目的として,全国の地方圏の都市計画区域を対象に,2010年時点の駅・バス停の有無および鉄道・バスの運行本数と,2010-2015年の5年間における年齢階級別社会増減率の関連を500mメッシュ単位で分析した.その結果,0-4歳→5-9歳の階級は地方圏全体としては社会増の傾向にあるが,市街化区域の鉄道運行本数の多い駅勢圏で相対的に社会増が小さいこと,10-14歳→15-19歳と15-19歳→20-24歳の階級は,地方圏全体としては社会減の傾向にあり,鉄道やバスの運行本数が少ないほど社会減が大きいこと,20-24歳→ 25-29歳の階級は,地方圏全体としてはおおむね社会増の傾向にあるが,市街化区域のバス運行本数が多いバス停勢圏ほど社会増が小さいことを明らかにした.