2023 年 79 巻 20 号 論文ID: 23-20051
本研究では,バス会社オリジナルの IC カードから全国共通交通系 IC カードへの変更とそれに伴うポイント還元運賃制度の導入に関する利用者の認知と評価について分析を行った.通勤・通学者,地域住民を対象に実施したアンケート調査の結果,運賃が実質的に値上げされたにも関わらず,全国共通 IC カードを高く評価する割合が少なくないことが明らかとなった.そして全国共通 IC カードに対する満足度が高い人は利用頻度を増やし,反対に満足度が低い人は利用頻度を減らす傾向にあることが確認された.また,ポイント還元運賃制度に関して,学生と地域住民はポイント還元率より運賃そのものを重視する一方,会社員は還元率・還元開始最低利用金額への感度も高く,属性に応じた柔軟な運賃・ポイント還元率の設計を行う必要があることが示唆された.