2023 年 79 巻 24 号 論文ID: 23-24004
近年,熱海の土石流災害を受けて新たに盛土規制法が施行され,今後,更なる盛土等に伴う災害の防止が求められている.その際,盛土の安全性確保においては,二次元分割法又は簡便法(円弧すべり)による検討を基本としている.しかしながら,今回示された二次元分割法による盛土への適用については更なる議論が必要である.そこで,本研究では,今後の盛土規制法における設計実務者に対して有益であると考えられる知見や,盛土規制法における課題やその対応について,常時及び地震時を対象に,ガイドラインにおいて示されている手法を用いた試算により考察した.さらに,実務の設計者が,現場において材料毎の概略的な盛土形状について簡易に評価できる関係性を新たに示した.なお,この二次元分割法を用いて,評価(任意点)位値の変化が安定度に与える影響について試算したところ,前提条件である作用する力のつり合いは認められず,任意点位値の変化に伴って安定度が顕著に異なることが確認された.