2023 年 79 巻 25 号 論文ID: 23-25015
アナモックス法は省エネ・低炭素型窒素除去プロセスとして応用拡大が求められているが,スタートアップが遅く,阻害発生や汚泥流失等による運転不安定が問題となっている.本研究は25℃でHAP(Hydroxyapatite)型一槽式部分亜硝酸化アナモックス(Partial Nitritation and Anammox, PNA)法の最適化を目指し,流入窒素濃度と水理学的滞留時間(Hydraulic Retention Time, HRT)を変化させた連続実験をそれぞれ行い,窒素とリンの除去効果を検討したとともに,形成されたHAP-PNA型グラニュールの特性を解析した.その結果,汚泥の沈殿性能が優れて高濃度に維持できたことで,非常に高い窒素除去速度(1200mg/L,HRT12時間で,2.0kg/m3/d; 500mg/L,HRT2時間で,4.8kg/m3/d)を実現できた.また,90%のリン除去率も得た.グラニュールの形成とリン除去に及ぼすカルシウム濃度の影響を把握し,リンと窒素の除去速度比率が0.02以上に維持することで優れたグラニュールを生成できる条件を明らかにした.