2023 年 79 巻 26 号 論文ID: 23-26003
本研究は,滋賀県を対象に建て方別,構造別,築年代別,断熱改修の有無別,省エネレベル別に利用可能な住宅ストックを1970~2050年の期間で推計することで,CO2ネットゼロ社会実現にむけた住宅に関する施策目標の分析を行うことを目的とする.
2050年の利用可能な住宅ストックに占める2021年以降築のストックの割合は,対策強化ケースにて44%であった.新築での省エネ基準の向上や適合義務化を見込み,断熱改修率をトレンドから戸建を4倍,集合を6倍に加速させても利用可能な住宅ストック平均での最終エネルギー消費量は,0.81(現行省エネ基準=1)であり,ZEHの太陽光発電量を全量自家消費とみなすと0.63となった.2021年以降の累積エネルギー消費量の削減率は,対策強化ケースにて停滞ケースと比較して5.5%に留まる.