2023 年 79 巻 27 号 論文ID: 23-27027
水力発電の発電電力量増大はカーボンニュートラルへの貢献および気候変動の緩和のために,重要な課題の一つである.その一方,近年の異常豪雨頻発化により,利水ダムにおいても治水協力を求められるようになってきている.本研究は,貯水池式水力発電において発電電力量の増大と洪水量の低減を満たすルールカーブを探知する方法を提示した.具体的には,発電および洪水操作を考慮可能な水収支モデルに対し,目的関数を発電電力量の最大化およびゲート放流量の最小化とした多目的最適化アルゴリズムを適用する方法である.ケーススタディーを実施した結果,貯水位を必ずしもルールカーブ通りに調整できないケースが見られたものの,目的関数の特徴をよく反映したルールカーブを得ることができた.