2023 年 79 巻 27 号 論文ID: 23-27041
京都市は全国に先駆けて「2050年二酸化炭素排出量正味ゼロ」を目指すことを表明した.先行研究において,エネルギー起源の二酸化炭素を対象とした同市の排出量正味ゼロの姿の定量化がなされている.本研究では,さらに廃棄物分野も考慮した脱炭素社会シナリオの構築手法を開発し,その手法を京都市に適用することにより,同市の2050年二酸化炭素排出量正味ゼロの実現可能性を検討した.推計の結果,再エネおよび再エネ由来の電力・水素の利用によりエネルギー起源の二酸化炭素排出量を可能な限り削減するとともに,ごみ焼却場へのBECCSの導入を想定することで廃棄物分野の排出が負に転じ,2050年の同市の排出量は吸収量を下回り,排出量正味ゼロの達成が可能であることが示された.