2023 年 79 巻 6 号 論文ID: 22-00177
周防灘は瀬戸内海における最も広い海域であり,対岸距離が長く,入り組んだ湾形状が多く全体的には南向きの海岸であるため,台風時における高潮の影響を受けやすい.本研究では,周防灘に影響を与えた過去の台風と高潮による潮位偏差を整理し,大きな被害をもたらした高潮について,経験的台風モデルと非線形長波モデルによる再現計算を実施した.さらにT9918等の実際の台風経路を基本に平行移動による台風コースを幾通りも設定し,最大規模の高潮の推算を行った.周防灘沿岸方向の潮位偏差の発達と台風経路との傾向が明らかとなり,観測値の潮位偏差を元に最大規模の確率年についても検討した.