土木学会論文集
Online ISSN : 2436-6021
論文
明治期における鉄道橋が輸入された要因
平井 節生羽藤 英二
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2024 年 80 巻 1 号 論文ID: 23-00039

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抄録

 本研究は,明治期に,日本の鉄道橋がイギリス人等のお雇い外国人主導で定規化され,製造の面においてもイギリス等からの輸入に頼っていた事実に焦点を当て,その不可解性を指摘した上で,明治期の鉄鋼業界の分析,鉄道界と造船業との比較,明治期の鉄道界を率いた井上勝の思想の分析等を通じて,明治期に鉄道橋が輸入されていた要因の解明を目指した.その結果,明治期に鉄道橋が輸入された鉄道固有の要因として,当時の鉄道界が急速なネットワーク拡大に邁進していたこと,井上勝が日本の橋梁技術に対する無力感を持っていたこと,鉄道橋梁に携わったお雇い外国人が鉄道当局から高い信頼を得ていたことが背景にあることがわかった.

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