2024 年 80 巻 1 号 論文ID: 23-00096
深刻化する人口減少に対して,広域的な拠点設定による機能の分担が目指されているにもかかわらず,拠点の選定基準やその包括的な実態は不明瞭であり,自治体の枠を超えた横断的な視点が欠けていた.そこで本研究では.既存のストックがあり人々の活動の場となりうる拠点候補地の経年的な変化実態を明らかにすることで,今後の広域的な機能補完への示唆を得ることを目的とした.分析の結果,1)中山間部では鉄道駅よりも非鉄道駅の候補地のほうが実態としての階層が高いこと 2)都市部では滞留人口や施設が中心的な拠点候補地から流出する一方で,郊外部ではこれらが維持または増加する分散化が生じていること 3)自動車に頼らないと未だに日常的な生活サービス機能を有する拠点候補地へのアクセスが困難な地域があることが明らかになった.