土木学会論文集
Online ISSN : 2436-6021
論文
『徳川実紀』にみる江戸時代前中期の江戸府内を主たる対象とした社会基盤整備に関する法制度と行政政策 ―地方政府としての江戸幕府―
西山 孝樹藤田 龍之天野 光一
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2024 年 80 巻 10 号 論文ID: 24-00028

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抄録

 本研究では,江戸幕府の正史である『徳川実紀』をすべて読み解き,主として江戸府内における社会基盤整備や諸制度に関する事項を抜き出し,その実態を明らかにすることを目的とした.その結果,頻繁に発生していた火災を防ぐための法制度が出されていた.江戸幕府の享保年間以前は瓦葺きを禁止していたが,享保年間に入ると,それまでとは逆行して瓦葺きの奨励に舵を切るようになった.さらに,牡蠣殻を屋根に葺くことを推奨したが,使用されなくなった.火除地の新設も実施され,関連する法制度も継続して発出されていた.舟運等で使用していた水路(堀)は,新規開削に関する事項は江戸時代前期に集中し,その後は維持管理に関するものであった.そして,不法投棄の禁止や水路の浚渫に関する法制度が定期的に発布されたことを明らかにした.

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