2024 年 80 巻 13 号 論文ID: 23-13133
地震時の斜面の安全性を合理的に評価するためには,斜面の崩壊しやすさに対して地震波が持つ種々の特性がどのように影響するのかを知ることが重要である.本研究では,地震波を特徴付ける指標として振幅と卓越振動数に着目し,これらの組み合わせからなる多数の正弦波を用いて二次元弾塑性有限要素解析による検討を行った.まず,斜面の絶対加速度応答及び残留変位の分布は,入力波の振幅と振動数に依存して現れる特徴的な変化を整理した.さらに,法肩に生じる残留変位は,入力波の振動数が斜面の固有振動数に近くて共振により応答が大きく生じる振動数帯だけでなく,入力波の振幅が十分に大きい場合には振動数が小さい帯域でも大きくなり得ることを示した.