2024 年 80 巻 16 号 論文ID: 23-16031
深層学習モデルYOLOv5を用いて,定点カメラで撮影した水面画像から河川浮遊ごみを連続検出する手法を構築し,良好な検出精度を得た.構築した手法を用いて,都市感潮河川である大阪府平野川を対象に,複数の定点カメラを用いた浮遊ごみの高密度観測を実施し,浮遊ごみの時空間的な挙動特性を解析した.浮遊ごみの挙動は主に潮汐に支配されており,満潮時に流れが停流する上流域において,浮遊ごみが滞留・集積する様子が見られた.潮汐流の変動成分によって生じる物質拡散が上流域に比べて下流域で大きいために,上流域では浮遊ごみの密度が大きく,下流域では小さい傾向が見られた.平野川では,平水時にも多くの浮遊ごみが流下しており,川沿いへの人のアクセスが多いために,平水時に直接水面に投棄されるごみ量が増加するものと考えられた.