2024 年 80 巻 16 号 論文ID: 23-16181
熊本県氷川町若洲地区干拓地では,灌漑用水として一部地下水を使用しているが,地下水を使用した農作物栽培では,農作物の生育不良が報告されていた.そこで,本研究では地下水の水質特性と灌漑用水としての適性について評価を行った.浅井戸と深井戸で調査を実施し,浅井戸の方が溶存イオン濃度は高いことが示された.また,浅井戸はNa-Cl型を示す一方で,深井戸では主に(Na+Ca)-Cl型を示し,井戸の深さによって異なる水質特性を示した.USSL diagramおよびWilcox diagramにより地下水の灌漑用水としての適性を評価した結果,採水した地下水の大半は灌漑用水として使用可能であるが,農作物の耐塩性や土壌の排水環境によっては使用できないと考えられた.