2024 年 80 巻 16 号 論文ID: 23-16183
本研究は,低平地の洪水氾濫解析において異なる標高データを用いた場合の解析結果の違いについて明らかにすることを目的とし,洪水が頻発しているベトナム中部Huong川を対象に標高データのみを入れ替えた洪水氾濫解析を行った.本研究で取り扱った標高データは,航空レーザ測量による標高データと比較して,沿岸部の低平地で2mから4mの平均差異があった.これらを用いた約250mの空間解像度の洪水氾濫解析結果より,最大浸水深は実測値と比較して,計算値との平均差異が最も小さい場合で0.86mであり,航空レーザ測量による標高データを用いても0.66mであると示された.そして,この差異は現状では許容せざるを得ず,標高データの精度と解析の精度は必ずしも比例しないと結論付けた.