2024 年 80 巻 17 号 論文ID: 24-17035
2019年台風15号の高潮・高波により,横浜市沿岸で埋立地の浸水やパラペット破損等の甚大な被害が生じた.本研究では,横浜市金沢区福浦地区の沿岸から約420mの地点に設置された高潮の遡上を捉えたカメラ映像より,映像上の漂流物を追跡し,高潮の遡上流速を簡易推定した.映像では約15分間,水位ほぼ一定で押し波により複数の漂流物が遡上する様子が確認でき,5個の漂流物の漂流距離と時間を確認し流速を推定した.結果,平均値0.70m/s,標準偏差0.06m/sとなった.また,高潮・波浪結合モデルSuWATを用いて,高波によるウェーブセットアップ効果を考慮した高潮遡上を解析した結果,対象地点での浸水は解析されず,過小評価となった.今後,高波による越波・越流の同時解析を行い,遡上高潮の発生原因を明らかにする.