土木学会論文集
Online ISSN : 2436-6021
特集号(海岸工学)論文
擬似温暖化経路アンサンブル実験を用いた高潮・洪水による複合氾濫特性の評価
豊田 将也春山 和輝森 信人金 洙列吉野 純
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2024 年 80 巻 17 号 論文ID: 24-17045

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抄録

 本研究は伊勢湾・三河湾を対象に,2019年台風19号を元にRCP8.5シナリオ条件下で21世紀末擬似温暖化台風経路アンサンブル実験を行い,台風に伴う暴風・大雨に起因する高潮・洪水の複合氾濫特性を評価した.現在気候と将来気候について,20ケースずつの経路アンサンブル計算の結果,将来気候では伊勢湾・三河湾ともに複数のケースで浸水が生じた.最大高潮偏差が発生したケースは伊勢湾台風に類似した経路であり,名古屋港で4.3m,三河港で3.1mであった.高潮・洪水を共に考慮した場合(複合ハザード)では,高潮のみの計算結果と比べて,平均浸水範囲は約51%,平均浸水深は約23%増加することが分かった.特に伊勢湾河口域では,木曽川等の大河川における台風通過後の洪水ピークを考慮することが重要であることがわかった.

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