2024 年 80 巻 17 号 論文ID: 24-17051
広域を平面2次元モデル(2D),陸域や構造物周辺を3次元モデル(3D)とする双方向で水位・流量を受け渡す2D・3Dハイブリッド津波解析手法を用いる場合の2Dと3Dの適切なカップリング位置に関する知見は少ない.本研究では,まず既往水理模型実験を対象に,ハイブリッドモデルの2Dに分散項を考慮する場合・考慮しない場合で,カップリング位置を変化させた解析結果から,分散性による津波波形の変化が3Dへの接続後の津波再現性に影響を与えることを確認した.さらに,2011年東北地方太平洋沖地震津波による女川町の遡上の再現を対象に,カップリング位置の設定方法を検討した上で痕跡高との比較,浸水深・流速の検証を行った結果,ハイブリッドモデルは2Dに比べ,構造物を考慮した陸上の津波遡上の再現性が向上すると推定された.