2024 年 80 巻 17 号 論文ID: 24-17069
茨城県大洗町は 2011年東北地方太平洋沖地震津波(3.11津波)による被害を受けた町のひとつである.町は港を中心に発展してきたが防波堤の建設により堆砂が生じ,汀線が約400m前進したことで,昔の堤防(旧堤防)が現海岸線から離れた住宅地の前に役目を終えて残っている.また港周辺には大型施設が主に4つある.そこで旧堤防,大型施設や港の防波堤による津波減衰効果について数値シミュレーションにより比較した.3.11津波では旧堤防と防波堤の組み合わせにより最大で10%程度まで浸水域が減少することがわかった.4つの大型施設は,若干背後地の浸水深低減に寄与するとわかった.またL2津波を上回る超L2津波では,いずれの施設において絶対的な効果は小さくなるが津波減衰が残存することも明らかにした.