2024 年 80 巻 17 号 論文ID: 24-17210
世界的に進行するサンゴの白化現象に対して,水温が比較的安定な水深30〜150mの深場(mesophotic zone, MPZ)は浅場サンゴ遺伝子の避難場所と再供給源としての機能が期待されている.本研究では,サンゴ生態系保全の視点から,沖縄本島沿岸域を対象とした高解像度海洋モデルをベースにサンゴ浮遊幼生の移流分散をモデル化し,Lagrange統計解析によって浅場–MPZ間のサンゴ浮遊幼生の3次元輸送特性の定量評価を試みた.本島を時計回りに周回する平均流に対応してサンゴの連結度に東西海岸で非対称性が生じること,閉鎖性の強い金武湾・中城湾では浅場での自己漂着が強化されること,開放性の名護湾では浅場と深場の両方で集積が生じるなど,地形的な特徴によって連結性に大きな差異が生じることを見出した.