2024 年 80 巻 18 号 論文ID: 24-18030
港湾の脱炭素化に向けて建設資材由来のCO2削減が大きな課題であり,低炭素型材料の開発や実用化が求められている.一方で,カルシア人工石は浚渫土や製鋼スラグ等の副産物から製造した代替石材でありCO2排出量はコンクリート等と比べて低い特徴がある.本研究では,このカルシア人工石に炭素素材を添加・固定することでCO2吸収型人工石(炭素固定人工石)の開発を試みた.炭素固定人工石は一定範囲の添加量では軟石や準硬石相当の強度を示し,適度にCO2固定した製鋼スラグで置換すると強度増加が認められた.またワカメを用いた海域生育試験ではコンクリート同等以上の生長が確認され藻礁ブロック等への適用可能性が示唆された.脱炭素の観点では,藻場造成工事に導入することで,施工・共用後の合計排出量は-20t-CO2とカーボンネガティブになる試算結果が得られた.