2024 年 80 巻 18 号 論文ID: 24-18043
黒い津波を模して底質としてカオリンを予め混合した水をゲート急開により開放して段波状の津波を発生させた既往の水理実験を対象として,底質の混合による流体の見かけの密度と粘度の変化を考慮可能な数値計算モデルFS3Mによる再現計算を行った.水理実験結果との比較により,水位,鉛直壁への持続波圧,持続波圧による鉛直壁への波力の観点から同モデルの再現性が確認できたものの,サージフロント波圧の再現性には課題を残す結果となった.また,持続波力により生じる鉛直壁への最大波力は,清水時の最大波力に底質を含んだ水の見かけの比重を掛けた値と比較して,低濃度時は大きくなる場合があり,高濃度時は小さくなることが分かった.したがって,津波時の浮遊砂濃度として 7%を想定するならば,ASCE 7やFEMA P646の基準を支持する結果が得られた.