2024 年 80 巻 18 号 論文ID: 24-18063
風車の大型化に伴い,洋上風力発電において主要な基礎形式であるモノパイル(以下,MP)は,特に日本では地震荷重の増加により大型化する傾向にあり,SEP船での施工などが課題となっている.MP基礎の地震時断面力を低減させる構造の一案として,MPの周囲を覆う円筒形の水中制震版(以下,制震版)を一部没水させて設置する構造が提案されている.しかし,制震版設置箇所は既存のMPに比べ,外径増大による波浪作用増大が懸念され,波浪の影響検討が課題である.本研究では,制震版を有するMP基礎の耐波浪性能について,水理模型実験と動的解析に基づくMP基礎基部の曲げひずみの比較により考察した.その結果,制震版を有するMPには,基礎設計上で通常想定する外径増大等による影響以外には耐波浪性能に悪影響がないことが確認された.