2024 年 80 巻 18 号 論文ID: 24-18096
マイクロプラスチックによる海洋生態系への影響が世界的に懸念される中,海洋や河川で汚染状況の実態調査が実施されている.本研究では,河川と海洋の間に位置する都市内湾の汚染状況を把握するため,大阪湾全域を対象に13カ所の砂浜海岸で採取調査を実施した.マイクロプラスチックは,汀線から海岸線の岸沖方向の複数箇所に分布しており,ほとんどが月最高潮位より標高が高い箇所に堆積している傾向にあった.また,堆積量は50~9,500個/m2であり,同一の海岸でも堆積箇所によりばらつきがあり,最大で約100倍の差があった.このため,岸沖方向の分布状況(堆積位置と堆積量)を考慮して各海岸におけるマイクロプラスチックの堆積量原単位を求めた結果,大阪湾全域の平均値は52.0個/m2に対して,湾奥部は253.0~312.6個/m2と汚染度が高いことが明らかとなった.