2024 年 80 巻 18 号 論文ID: 24-18095
沿岸高波浪による打ち上げ・越波越流・海岸変形は,海岸構造物被害を引き起こすだけでなく,防護施設後背地への浸水被害の大きな要因となる.高波浪などのイベント時には,発生する各種現象の迅速な把握が重要であるが,既往の観測技術では高波浪時にも対応できる堅牢性の確保が課題であった.本検討では,防水防塵性能を有する安価なLiDAR(Light Detection And Ranging)を用いて,沿岸の厳しい環境下でも長期運用可能な海岸モニタリング手法を構築し,日本海側で冬季の現地観測を行った.その結果,海岸構造物,地形,水面の同時観測が可能であり,遡上波,越流,後背地への浸水,地形変化を評価できた.そのため,海岸モニタリング手法として有効であり,今後の活用が期待される.