2024 年 80 巻 18 号 論文ID: 24-18155
岸壁などの港内施設には外郭施設からの回折波や港内での反射波が作用するため,合田波圧式に適用する壁面位置での進行波高を適切に得ることが困難な場合も多い.港内施設の越波浸水対策として岸壁上に設置する胸壁等の設計では防波堤と同様,安定性照査のために作用波圧の鉛直分布を得る必要があると推察される.そこで本研究では,異常時の港内静穏度解析にも広く活用されるブシネスクモデル(NOWT-PARI Ver5.2)に新たな圧力式を組み込み,岸壁への作用波圧を直接算定した.
補正項を導入した圧力式は,分散波による波圧の鉛直分布を適切に算定できるものの,非線形波による重複波圧を過大(設計上安全側)に算定するとともに,静水面上の胸壁に限定した波力を適切に算定するためにはより詳細なモデル化が必要であることが判明した.