2024 年 80 巻 18 号 論文ID: 24-18190
本研究では,円形水槽を使用し新型の連結造波板式造波装置と従来の造波装置を比較して,新造波装置の有効性とらせん波の波高が沿岸漂砂と地形変化に及ぼす影響を検討する水理実験を実施した.新造波装置の導入により,波高の安定性が向上し,波高と波周期を独立して調整可能となった.波高が大きい場合,侵食と堆積が順番に現れる傾向が顕著に観察され,強い流動による沿岸流の促進と斜めに入射する波の合成による長周期波成分の寄与が原因であることが示唆された.これに対し,波高が小さい場合,地形変化が比較的穏やかであり,汀線近くの沖側で発生する沿岸流が地形変化を引き起こす可能性が判明した.この違いから,波高が沿岸漂砂と地形変化に重要な役割を果たしていることが示された.