2024 年 80 巻 18 号 論文ID: 24-18192
過去173事例の台風予報資料から,時間軸に着目して台風予報誤差を算定し,その頻度分布特性を明らかにした.リードタイムが増大すると誤差分布の裾野は広がる.また,緯度,季節,強度に依存して誤差の分布特性が変化した.高緯度になるほど,中心気圧と進行方位の予報誤差のばらつきは小さくなり,進行速度の予報誤差のばらつきは大きくなった.中心気圧の予報誤差分布は夏が最もばらつきが小さく比較的精度が高い.また弱い台風よりも強い台風の方が予報誤差はばらつきが大きくなる傾向がある.過去の台風予報誤差の資料から推定したバイアス値を用いて予報結果を補正しても予報誤差の顕著な改善には至らなかった.誤差分布を模擬した統計モデルを用いて2023年の台風予報事例を検証した結果,危険性の見逃しは改善される可能性が示された.