2024 年 80 巻 19 号 論文ID: 24-19002
山岳トンネルや地下発電所などの施工では,切羽の観察や変位の計測結果に基づき,設計や施工方法を適宜修正する情報化施工が採用されている.数値解析により設計変更が検討されることもあるが,地山の構成モデル,力学パラメータ,初期・境界条件など,多くの不確実性を扱わなければならない.本論文では,線形弾性モデルによるトンネル施工および弾完全塑性モデルによる岩石の載荷試験を対象にデータ同化を活用した数値実験を行い,地山や供試体の変形挙動の予測性能の向上に寄与する解析手順や計測データの条件などを示した.そして,弾塑性モデルを扱う山岳トンネル施工時の地山の変形挙動の予測にデータ同化手法を展開していく上での研究課題について整理した.