2024 年 80 巻 19 号 論文ID: 24-19001
本研究では,山岳トンネル覆工に関して,従前の連続体力学に基づくアプローチと異なり,新たな力学的アプローチとして,不連続体解析手法の適用を試みた.山岳トンネル覆工の,健全な状態からひび割れ,うき・はく離,はく落等を伴いつつ構造物全体が破壊しそれが進行する一連の挙動について,個別要素法によるシミュレーションを試行した.軸力と曲げが作用する条件,および,曲げが卓越する条件に対する山岳トンネル覆工を対象とした実大載荷実験について,ブロック体個別要素法解析,粒状体個別要素法解析を実施し,ひび割れ,うき・はく離等の構造的な分離,覆工構造全体の破壊やその進行に対する再現性を検討した.そして,構造的な分離,覆工構造全体の破壊やその進行の評価での有用性について論じるとともに適用性における課題も明らかにした.