2024 年 80 巻 2 号 論文ID: 22-00354
持続的な離島振興を目指すために,政府や地方自治体は離島地域への支援政策を展開している.その効果を検証するためにはエビデンスを重視した政策評価の仕組みが必要である.本論文は,離島振興政策の中で,観光に関する政策に着目し,宿泊施設を対象とした政策をケーススタディとして政策効果を定量的に評価することを目的とする.本論文では,はじめに観光分野に関連する離島振興政策について,全国網羅的に整理した.次に,整理した政策項目の中から宿泊施設への政策を抽出し,宿泊政策の有無と政策実施前後の宿泊収容人数の増減との関連についてPSM-DIDを援用して実証した.その結果,「宿泊施設の充実」施策を行った離島は,施策無の離島と比べて宿泊収容人数が66%増加したことが明らかになった.