2024 年 80 巻 2 号 論文ID: 23-00092
社会基盤施設の統計的劣化予測のための多段階ワイブル劣化ハザードモデルでは,連続時間軸上で時間依存型の健全度推移を表現するために,健全度の推移確率が解析解を持たない多重積分形式となる.そのため,モデルの推定および推定結果の利活用において,数値積分等の計算負荷が問題となっていた.それに対して,本研究では,離散ワイブル分布に基づき,健全度の推移確率が解析解を持つ離散時間多段階ワイブル劣化ハザードモデルを提案し,計算負荷低減を図る.同モデルは多段階ワイブル劣化ハザードモデルの時間に関する離散近似であると解釈できる.実在の高速道路伸縮継手装置の点検データを用いた実証分析を通して,離散時間多段階ワイブル劣化ハザードモデルの有用性に関して,モデル推定精度や推定時間の観点から検証を行う.