2024 年 80 巻 20 号 論文ID: 24-20047
近年,我が国における道路政策の方向性として安全性や快適性が確保された歩車共存の生活道路の実現が掲げられており,そのような道路空間を実現させるためには,生活道路における利活用の観点も踏まえた「歩行者が優先」という意識を今後より一層浸透させていく必要があると考えられる.以上から,アンケート調査によって歩行者優先意識に関連する要素を定量的に明らかにした.分析の結果,生活道路において歩行者が優先して通行できれば十分と考える意識と生活道路の利活用までを許容できる意識において,それらの意識の形成原因が異なる可能性を示した.また,生活道路において利用者の滞留や利活用を許容できる意識の醸成に向けて,地域との関わりの深さや安心安全な環境づくりなどが重要である可能性が示唆された.