2024 年 80 巻 20 号 論文ID: 24-20109
本研究では,連続車両軌跡データを用いて,車間距離不保持が直前の車両の追従挙動や衝突リスクに与える影響について分析した.線形の追従モデルである Helly モデルに関して,後方の事故リスクを考慮可能な説明変数を加え,重回帰分析を適用し,パラメータを推定した.分析結果より得られた代表的な知見として,次の 2 点を挙げておく.1) 車間を詰められた車両については,ジャークが正に大きく,加減速の変化が大きい.加えて,車間を詰められている場合,追従車の前方車との衝突リスクは小さいが,後方車とのリスクは相対的に大きい.2) Helly モデルの推定結果より,車間を詰められている状況で,先行車との車間に余裕があるケースでは,累積 back-PICUD の値が大きくなると加速する傾向が確認された.