2024 年 80 巻 22 号 論文ID: 23-22017
東日本大震災の被災地域では広域で大規模な復興事業が実施されたが,それに伴う地形改変の量やその空間分布は明らかではない.本研究では,震災直後と現在のDEMとを用いて,標高差分から復興事業による地形改変を空間分布として推計した.その結果,宅地造成や嵩上げによる標高変化や,道路建設による切土盛土といった,人為的な地形改変を可視化した.地形改変量は岩手県で6.29億m3,宮城県で5.96億m3と推計され,宮古市から東松島市までの地域で改変量が多いことが示された.また,震災前後の用途地域を用いた面積あたりの地形改変量(改変強度)を算出した結果,宅地造成が行われた住宅用途で大きな改変強度となった.これは,露天掘り採掘や土砂採取といった人為的地形改変と比較すると強度は小さいが,復興事業が広域で実施されたことから大規模な地形改変が行われたといえる.