2024 年 80 巻 23 号 論文ID: 24-23344
橋梁の定期点検時に,安全性の向上と予防保全を目的として点検時措置が実施されることがある.点検時措置の効果を評価することは重要であるが,点検時措置は相対的に劣化速度が大きい損傷に対して実施されるために,そのような損傷に対して点検時措置を実施しなかった場合の点検データが獲得できなくなるというサンプル欠損が生じる.本研究では,サンプル欠損を考慮した劣化予測モデルを援用することによってこの問題を解決した上で,点検時措置実施時と未実施時の劣化過程を比較して,点検時措置の効果を劣化抑制効果として定量的に事後評価する.最後に実際の高速道路高架橋を対象とした目視点検データを用いた適用事例を通して,点検時措置による劣化抑制効果を定量的に評価するとともに,点検時措置の実施タイミングに関する考察を行う.