2024 年 80 巻 24 号 論文ID: 24-24011
本研究は,山梨県西部を南流する釜無川を対象に,浸水の起こりやすさを考慮した水害リスク評価手法を提案することを目的とした.その為に、洪水浸水想定区域図の作成に用いられる破堤地点毎の氾濫シミュレーションデータからメッシュ単位で浸水区分毎の浸水回数を集計した.また洪水被害による建物被害額の期待値を指標としたリスク評価手法を構築し,対象地域の水害リスク評価を実施した.最後に構築した水害リスク評価手法を釜無川に適用し,釜無川の洪水浸水想定区域内における水害リスクの経年変化を分析した.分析の結果,対象地域での浸水頻度の違いを可視化し,期待値の考え方を用いることにより,浸水頻度の違いによるリスクの差を表現できることを確認した.また,対象地域では2000年から2005年の間に浸水頻度の高い土地で開発がおこなわれた可能性があることを明らかにした.