2024 年 80 巻 24 号 論文ID: 24-24012
気候変動による災害の激甚化が危惧される中,河川の氾濫時における広域避難の議論が進められている.本研究では,広域避難の必要性が指摘されている大阪府摂津市の住民を対象に実施した広域避難ワークショップを通して,広域避難に対する住民の意識変容に効果的な要素を分析した.(1)事前意識(情報確認前),(2)リスク情報(情報内容確認),(3)事後意識(情報確認後)の3ステップで検討する「広域避難カルテ」を作成し,このカルテを利用しながら,参加者にとって適当な広域避難を検討した.広域避難カルテおよびアンケート調査の結果から,広域避難カルテを通して,自身のこれまでの考えと正しい情報を確認し比較する作業が早期の広域避難に対する意識を醸成すること,また時間的要素は広域避難に対する住民の意識変容に効果的であることが確認された.