2024 年 80 巻 24 号 論文ID: 24-24016
水道事業は生活に欠かせないライフライン事業であり,安全な水の安定供給を維持していく持続性が確保されなければならない.そのためには災害時の早期復旧が必要であり,BCP(事業継続計画)等の事前対策の推進が不可欠である.本研究では,兵庫県における水道事業に着目し,特に安全な水を日々供給している浄水場に焦点を当て,アンケート調査やGISによる空間情報解析の結果から今後の自然災害が浄水場にもたらす影響と課題や水道事業のBCPの必要性,自然災害の被災リスクについて検討した.アンケート調査から,約半数の浄水場で対策が進められていない現状が明らかになり,そのが進まないボトルネックとなる主な事項は,職員不足とコスト面の予算確保であることがわかった.一方,空間情報解析の結果からは,各種自然災害で被災する危険性のある浄水場は兵庫県全域の約2割にとどまることが明らかとなった.