2024 年 80 巻 25 号 論文ID: 24-25002
本研究では下水汚泥をメタン発酵する際に添加剤として鉄鋼スラグを使用し,鉄鋼スラグ添加がメタン発酵性能へ与える影響を調べた.組成の異なる転炉スラグと高炉スラグをそれぞれ添加して回分式メタン発酵実験を行った.その結果,転炉スラグを添加することでスラグに含まれるCaとバイオガス中CO2が炭酸化反応し,バイオガスからCO2が除去され,CH4濃度が上昇した.混合生汚泥を基質として転炉スラグ2g/L添加した際には,CH4濃度が66%から71%に上昇し,対照系に比べてCH4収率が1.8倍に増加した.一方で高炉スラグ添加によるメタン発酵促進効果はみられず,阻害効果もなかった.転炉スラグは高炉スラグと比較してFe含有量が高く,転炉スラグ中のFe化合物がCH4収率増加に寄与した可能性が示唆された.