2024 年 80 巻 25 号 論文ID: 24-25003
本研究の目的は,食品廃棄物のメタン発酵における微量元素の欠乏による酸敗過程を再現しつつ,メタン発酵と環境条件の各指標の変化パターンを特定してモニタリング指標の相関関係を検討することで,制御方法と自動監視を実現するための基礎を提供することである.中温とHRT 30日の完全混合反応槽を用いて,微量元素を添加しない食品廃棄物を基質としたメタン発酵の長期連続実験を行い,2回の酸敗過程を再現したとともに各パラメータを連続的に監視し,関連性を解析した.その結果,微量元素の欠乏による酸敗過程を有機物分解率,バイオガス生成,有機酸の蓄積およびpHとアルカリ度の変動などの指標で把握し2回再現させた。また自動検出可能なパラメータの中,CO2割合,pHおよびORPの線形相関性を特定したとともに,ガス生成率,CO2割合,pHとアルカリ度6.5,TVFAs,TVFAs/アルカリ度6.5間にも著しい相関性があることを明らかにした.