2024 年 80 巻 25 号 論文ID: 24-25006
本研究では日本のPFAS汚染実態を明らかにすることを目的に,全国34カ所の下水処理場の脱水ケーキについて30種類のPFASを分析した.30種類のPFAS合計濃度は4.6~370ng/g-dryであり,PFOSが最も顕著に検出され,PFHxA,PFNA,PFUnDAなどの長短鎖PFASも多く検出された.PFOS濃度は近年の欧米諸国の既報値と大きな違いは見られず,同様の状況にあると示唆された.PFOSについては嫌気性消化汚泥で有意に濃度が高くなる傾向が見られ,PFOA,PFNA,PFUnDAについては無機系脱水助剤によって濃度が高くなる傾向がわずかに見られた.肥料利用拡大においては欧米と同様の対応を見据え,PFOS濃度やその推移に注目する必要があると考えられた.