2024 年 80 巻 25 号 論文ID: 24-25005
褐藻アカモクの培養において下水汚泥コンポストを栄養源として利用することの可能性を検討するため,下水汚泥コンポストとろ過海水を混合し,振とう後に静置した上澄み液をコンポスト溶出液として回収した.この溶出液を海水に重量比で0%から20%の割合で添加し,アカモクの室内培養を7週間に渡って水温20℃で実施した.その際,コンポスト溶出液と海水は1週間ごとに交換した.溶出液1%の処理区ではアカモクは順調に生長し,全長と湿重量の最大値はそれぞれ0%の処理区の最大値の1.2倍と2.1倍に達した.一方,10%と20%の処理区ではアカモクの生長が著しく阻害された.培養後の藻体に含まれる光合成色素濃度は,処理区間で有意な差は見られず,コンポスト溶出液の添加はアカモクの光合成能に影響を与えなかった.