2024 年 80 巻 25 号 論文ID: 24-25017
肥育後期(月齢 5~6 ヶ月)に下水処理水栽培米を給餌された肥育豚(試験区)から分離した大腸菌株の薬剤耐性を,同期間に慣行栽培米を給餌された肥育豚(対照区)と比較した.18頭の肥育豚から43株(試験区の8頭から21株,対照区の8頭から22株)の大腸菌株が分離された.分離菌株について薬剤感受性試験を行った結果,24株(試験区の5頭から10株,対照区の7頭から14株)がテトラサイクリン,クロラムフェニコール,アンピシリン,スルファメトキサゾール/トリメトプリム,カナマイシンのいずれかの抗菌薬に耐性を示したが,5種類のいずれについても試験区と対照区で耐性率に有意差はなかった(p > 0.05).耐性菌株のST型と保有していた耐性遺伝子は試験区と対照区で類似しており,肥育後期に下水処理水栽培米を給餌した影響は見られなかった.