2024 年 80 巻 25 号 論文ID: 24-25045
水中の天然有機物(NOM)は塩素消毒によって消毒副生成物(DBP)を生じうる.また,水処理プロセスはNOMの化学特性を変化させ,結果としてDBP生成に影響を及ぼす可能性がある.本研究では,超高分解能質量分析により異なる水処理操作を施したNOM試料の分子組成を同定し,NOMの分子特性変化とDBP生成への影響を解明することを目的とした.また,NOMの分子特性からDBP種の生成を予測する機械学習モデルを構築した.Pycaretを用いたモデル比較の結果,catboostが高い予測精度を示し,分子量とC/O比がDBP生成への影響が大きいことが示された.また,紫外線処理において十分にNOM除去がなされない場合,NOMの飽和度や芳香族性等の分子特性が生成されるDBPの種数に影響することが示唆された.