2024 年 80 巻 26 号 論文ID: 24-26006
本研究では,徳島県鳴門市のレンコン田において減農薬栽培と慣行栽培の各圃場における水生生物の生物量を比較することで,農薬の使用量による水生生物群集への影響を明らかにすることを目的とした.調査は2023年5~8月に計4回行った.解析の結果,動物プランクトン,すくい採り・ペットボトル調査におけるそれぞれの総個体数・総湿重量には農法間で有意な差が認められなかった.ヌマガエル・アメリカザリガニの生物量は減農薬栽培にて農法間もしくは時期間で有意差が認められた.このことから,種によって減農薬栽培は正の影響をもたらしているが,群集全体には回復効果が見られないことが示唆された.これは,減農薬栽培は開始してから6年と比較的短いため,生物多様性の回復効果が見られなかったのではないかと考えられる.