2024 年 80 巻 27 号 論文ID: 24-27012
近年の異常豪雨頻発化により,利水ダムにおいても治水協力を求められるようになった.その一方,水力発電の発電電力量増大はカーボンニュートラルへの貢献のために,重要な課題の一つである.本研究は,貯水池式水力発電の治水機能強化および発電電力量を増大させる運用方法を深層強化学習手法(DQN)により構築し,その特徴を分析した.その結果,本研究のDQNは学習に利用していない期間のデータに対しても柔軟に対応できることが示された.また,年間を通じた高水位運用を可能としたことから,与えられた条件下において比較的高い発電電力量を達成できたと推測される.加えて,洪水時に貯水位が常時満水位を超過することがなく,かつ洪水時のピーク流量を適切にカットすることもできた.さらに,出水期の貯水位は非出水期のそれよりも低く,洪水に備えた貯水位運用がなされていた.