2024 年 80 巻 3 号 論文ID: 22-00361
わが国では全年齢に占める高齢運転者による事故件数の割合が増加し,社会問題となっている.運転免許自主返納制度等の対策は,リスクや事故の責任を個別要因に帰する対策とも言える.本研究では,高齢運転者の運転頻度や運転技能等は,地域ごとの土地利用状況や道路の利用状況・混雑状況など,普段の運転環境の違いに長期的に影響を受け,発生する事故の状況は個別要因だけでなくそれらの影響を受けるという想定のもと,茨城県を対象として高齢運転者による事故と地域特性との関係性に関する分析を行った.その結果,高齢運転者の事故の多くに共通する事故の特徴が抽出された.また,人身事故と土地利用や道路幅員などとの間にも有意な相関が確認され,地域の特性に応じた高齢運転者の事故対策の重要性を示唆する結果を得た.