2024 年 80 巻 4 号 論文ID: 23-00087
COVID-19流行以降,テレワークの進展などにより人口の地方分散が期待されている.しかし,実態としては大都市圏郊外への分散がより顕著である.実効力のある地方居住施策を行うためには,流行下で発生したこれら地方分散や郊外分散につながる転居意向(以下,「分散型」転居意向)の実態を定量的に捉えることが重要である.本研究では,COVID-19流行下の三大都市圏における「分散型」転居意向の発生要因について分析を行い,さらに地方への転居意向と郊外への転居意向の発生要因を定量的に比較した.その結果,テレワークの実施頻度が高いほど「分散型」転居意向が発生しやすい傾向にあるが,その行き先としては地方に比べ郊外を志向する傾向にあることがわかり,テレワークを軸とした地方居住施策の課題を新たに明らかにした.