2024 年 80 巻 5 号 論文ID: 23-00122
鉄道では大雨時の列車運行の安全を確保するために,沿線雨量計の実況値に基づき列車運転規制を行っている.これに短時間降雨予測を活用することで列車運行の安全性をさらに高められる可能性がある.本論文では,地形性降雨算定手法と移流モデルを組合わせた降雨予測手法を取り上げ,地上雨量の推定精度と規制発令時刻の予測精度の検証,および補正による精度向上の検討を行った.2019年台風19号通過時の東日本の広範囲の鉄道雨量計を対象に検証した結果,地形性降雨算定手法の導入により地上雨量推定精度が向上すること,地形性降雨を考慮した予測値をリアルタイムの誤差を反映して補正することで高い精度で規制発令時刻を予測でき,かつ移流モデルのみの場合よりも早めの予測が可能で安全確保の観点からも優位な予測ができることがわかった.